焼杉表札

長野県の小学校は春休みが他県よりも長いようです。

3週間の春休み、家で仕事をしている私にはかなり大変です。
娘は放課後児童クラブには行きたがらないので、長男と娘は基本的に家で過ごしています。 ○○やりたい、外で遊ぼう、どこかに行きたい…、特に娘が事あるごとに仕事場に来ます。
それでもあと1週間、何とか頑張ります。

だいぶ前からの案件ですが、外壁に使用している「焼杉板」での製作依頼がありました。
焼杉というと小学校の頃に泊まりの合宿というのがあり、その中で焼杉の壁飾りづくりが定番でした。もっともそちらは焼杉の炭化した表面をワイヤーブラシで削り落とし、年輪の凸凹を活かした作りです。 今回の依頼は炭化した部分を落とさずに作る、という難問でした。

最近焼杉の外壁を使用するお家が増えているようです。漆黒の潔い雰囲気やメンテナンスフリーで長期間使用できるという情報です。
ただ、だいたいお分かりかと思いますが、木が炭化して炭になるとどうしても脆くなります。 特に表札として私がいつも作るように切り文字にするとどうなるか、少し前からサンプルを頂いて実験を重ねていました。

外壁に使用する焼杉は大体「三角焼き」と呼ばれる、独特の製法でしっかり焼いてあります。とはいえいい塩梅で作ってあるため、カットしてみれば表面1~2mm程度の焼け具合です。 触ってみても思ったほどには炭が付きません。

表札として製作する際の問題点として
① 炭化した部分の剥離
② カットした断面の色味をどうするか

大きくこの2点がありました。
①に関してはいくつか試しました。結果としてポリマー塗料である程度、炭部分を固めてオイルも浸透させる、という方法を取りました。 結構浸透したので効果もあるかと思います。
②に関しては、当初側面もバーナーであぶってみたのですが、小さな切り文字は黒くなる前に角から燃えていって、あっという間に本当の炭になってしまいました。 これはダメだとしばらく考えて、子供が書道に使っていた「墨汁」を使う事にしました。墨だってもともと煤を集めて作るものだから、出所は同じだし実際上手くいきました。

初めての事ですが結果的に何とか形になりました。

焼杉の表札

2つ製作しました。というのも当初、製作が本当にうまくいくのかわからなかったため、いくつか予備を作りながら製作していました。 依頼主と相談していきながら、炭化した部分をある程度落とした「マイルド仕様」をお作りするという事になりました。 

画像の説明

結構雰囲気よく作れました。

画像の説明

こちらがそのままの表面を残して製作しました。いかがでしょうか。

画像の説明

側面に墨を塗りました。
墨も何百年と保ち続けるので、塗料と考えるとかなり有効です。

最終的には依頼主からも気に入ってもらえましたし、非常に勉強にもなりました。 経験は成長ですね。

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