漆かぶれの話
最近漆塗りをはじめました。
木工をやっていると仕上げに何を塗っていくか、時々考えの分岐点に差し掛かることがあります。 オイルで仕上げていくのか、ウレタンにするのか、ガラス塗料にするのか。天然の塗料として漆仕上げもあります。
漆はあまりに日本になじんで多く普及してしまったため、その印象はよくも悪くも独り歩きしているように思います。漆塗りの家具や〇〇箪笥、といったものは私の世代では古臭いものという印象があります。漆器は扱いが難しいなどと言われてだんだん敬遠されたように思います。
手順が出来上がった○○塗り、という技法には気が遠くなるような時間や技があるのは分かります。ただ、漆が持つ優れた性質は木工をやる人が塗料として選ぶ際にそれほど遠くないものだと思っているので、少しずつやってみることにしました。以前に拭き漆で箸を作ったこともあり、少し慣れている気でいました。
8月15日頃から製作したものに拭漆の手順で行っていました。
ウッドバングルに塗って、乾いただろうと思ったものを30分ほど右手首につけていたところ、写真のような発疹が現れました。 あれ、もしかして…。

それほどかゆみもなく、ああ漆かぶれってこれか、と軽く考えていました。
その後、さらにお皿への拭き漆作業。
連日の猛暑もあり、漆がすぐべっとりしてきて拭き上げるのに苦労しました(もちろん高温で漆は乾きにくいというのも一応知ってはいるのですが、どうなるか経験としてやっています)。力を込めて拭き上げていって、いつの間にかつけていた薄いビニール手袋の指先が破けて爪や指の第一関節あたりまで漆で染まりました。 作業後に何度も手を洗うのですが何を使っても落ちないんですね。
こんなことが数回あり、そうしていたところ左手のほうに発疹が現れてきました。そして猛烈にかゆい。

あれ、これはもしかして、と漆かぶれを確信。ネットで検索するとほとんど同じ症状の画像が出てきてます。
漆かぶれは耐性がついていくことが多いようで、どうしても通る道かと思い今は耐えよう、と頑張りました。


しかししかし…、かゆみが猛烈にすごい。
両方の手の甲が赤くはれて水疱がたくさんできました。
かゆみは、蚊に食われた部分が数百か所もあるようなイメージです。
最初は我慢しますが、かゆみでなくピリピリした刺激のような皮膚感覚もあり、これだと無意識に触ってしまい、それからかきむしってしまいます。これがまた気持ちよくて止まらない。
その後、両前腕、上腕の内側、首、耳、鼻、瞼、額、腰回り、鼠径部など、比較的やわらかい部分に発疹とかゆみがやってきました。 特に夜中にかゆみで目が覚めてしまい、市販のかゆみ止めでは足りないし、冷やしているだけではどうにもならなくて、結局病院を受診しました。
病院ですが、近くにアレルギー科のある病院がじんましんを診ると記載があり朝一で行きましたが、話をすると体内に入った食べ物系のじんましんは診れるが、漆かぶれのような外側の発疹は皮膚科だといわれました。病院選びもまた難しいですね。
アレルギー科の病院から教えられた皮膚科のある病院に行き、基本的に飲み薬のステロイド、アレルギー薬、胃薬、それに皮膚に塗布するステロイド2種が処方されました。ひたすら我慢するべきかとも思っていましたが、かゆみで若干衰弱していたので病院の薬はありがたかったです。
病院に行った日をピークとして、ゆっくりですが改善していきました。
水疱が破れて手はボロボロ。クリーム薬を塗って手袋をして過ごし、やがて皮膚は薄く皮むけてきました。
手がしわしわになってしまっている
病院は2ターン目(2週)で同じ薬をもらい続け、確実にピークは過ぎました。しかし、毒素?が重力で下がっていくのか、膝やすね、足の指部分に発疹とかゆみがやってきます。
また今現在は手指の横、手のひらの一部に水疱ができてかゆい。両腕も赤いあざのように腫れた部分が痕になって残っています。

息子はアトピー性皮膚炎持ちで体をぼりぼりかきむしっていますが、それでも私の姿は同情されたので、一過性とはいえやはりアトピーよりも漆かぶれはすごくかゆいのでしょう。
漆は女性はあまりかぶれない人がいるとか、生業にしている家の人はかぶれない人がいるとかいろいろ言われていますが、やはり個人差なのだと思います。 女性で漆仕事を何年もしているのにいまだにかぶれるというブログも読みました。
家の父親も思い返すと、農家の仕事で素手で作業をしていて、何かにかぶれては毎年手のひらの皮がむけていました。同じ血を受け継いでいるならかぶれないわけないですね。
もっとよく調べて対策して仕事をすればよかったなと後悔したのと、病院には症状を耐え易くする薬があるのだから早く見てもらったほうが良いという事です。何しろ安心感があります。漆かぶれは人にもよると思いますが、私は結構重症化した気がします。何事も侮るなかれです。
かゆみはやはり冷やすのがいいですね。冷蔵庫に保冷剤でひたすら冷やして落ち着くのを待ちました。
お風呂はむしろ水風呂で冷やしました。
それから四六時中かゆみに耐えていた時に、サカナクションがライブをYouTubeで同時配信してくれた日がありました。
楽しみにしてその時間を集中してみていたら、その時はほとんどかゆみを忘れるんですね!音楽の力、サカナクションの力はすごいです。

サカナクションのライブ配信
思い出すとコロナの頃に私は親知らずを抜いた予後が悪く、痛みに耐えていた時にやはりサカナクションがオンラインライブを公開してくれて、その時も痛みをほとんど忘れて見入っていたことを思い出しました。 ありがたいなあ。こんなこともありずっと応援していきたいと思いました(笑)。
かゆみにばかり囚われていると苦しく閉塞感が出てきますので、ほかに集中できることや飲み込まれてしまうような物事があったらそれに乗っかるのも良いやり過ごし方だと思います。
まだかゆみが続いていますがこれが私の漆かぶれ話です。