久しぶりの報告
暴露試験です。これは屋外にさらしてどのような変化が起きるのかを調べる実験の事です。
私のブログカテゴリーを見たら2019年あたりで止まっていました。2回目の暴露試験3か月目でした。そこから実に5年経過です。 その間もずっと目につく場所に置いていますから自分自身はよく分かっていますが、このブログでの報告をしていないだけです。 久しぶりにどうなっているか、記載してみようと思い立ちました。
この5年のうち、多分1回ほどはオイルを塗った記憶があります。まずは写真をご覧ください。
軒下、雨ざらしともに日中は6~7時間直射日光が当たります。軒下環境でも年数回は横なぐりの雨が当たって濡れています。
上から紫檀、ウリン、花梨、月桂樹、チーク
月桂樹は一個紛失しています
ベースの木の色が濃い方が軒下、グレーになっているのがあまざらしの材です。 それぞれ2個ずつ同じ材を取り付けていますが、並んでいる右が塗膜塗料仕上げ、左がオイル仕上げです。
上からホワイトアッシュ、ミズナラ、ブラックチェリー、メイプル、栗
黒っぽい材から 神代楡、山桜、しゅり桜、オーク
しゅり桜、オーク、タモ、ウォルナット
米杉、イチイ、サイプレス、木曽檜、秋田杉
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5~6年経過して分かることは、
・雨ざらしで何も手入れしていないとほとんどの材はグレーになっていく。
・軒下環境でも多くの材の色合いはどれも薄い茶色になっていく。
・塗膜塗料は塗膜が残るものもあるが、紫外線によりほとんどが色をなくしている。
・紫檀、ウリン・神代楡は軒下で濃い色合いを保っていた。
写真では分かりませんが良く眺めてみると細かく黒いカビ状のものが分かります。まったく付着していないものはないですが、濃色を保っている材は目立ちません。
米杉から下の針葉樹も健闘しています。
個体差もあり一概に言えませんが、栗や檜などは耐候性があると言われる材だけあり良好な状態だと思いました。
触ってみるとどれも表面はざらつき、乾燥しているのが分かります。
紫檀、ウリンは色味的にも優秀材だと感じました。ただウリンは濡れると色が染みだすと聞いた事があり、本格的に使用したことがありません。それでもこの状態ならいいですよね。神代楡は埋もれ木です。色も経年変化も不思議な材です。
私個人の好みはグレーになった雰囲気もとても好きです。枯れた魅力というか、経年変化の味が良く出ています。 表札としては文字がこれに入っていますので、破損しないようやはりメンテナンスは必要です。メンテナンスすると木の内部にもオイル成分がしみこむため、細かなひび割れや色味の退色も少なくなるはずです。
実際、私の工房看板は時々メンテナンスしているので良い雰囲気で経年変化を重ねています。
木の表札をご依頼いただく方に分かっていただきたい事として、いつまでも新品のままの状態はあり得ないという事です。木材特有のエイジング、経年変化があります。これを楽しんでいただきたいです。
木にも適所適材があります。経験をもとにお勧めの材、おすすめのデザイン、メンテナンス方法をご提案していきたいと思います。