カテゴリ:本

黒部の山賊 

一月ももうすぐ終わろうとしています。
新型コロナ・オミクロン株の対応で子供たちの行事が軒並み中止になってしまい、寂しく残念なことになりました。
いつになったら日常を取り戻せるのか。難しい毎日です。

年末のBSの特番で、北アルプス最奥、黒部・三俣山荘の番組を見ました。
現在のご主人は私と同年代の40代。そのお父さん・伊藤正一さんがこの地域の山小屋の基礎を作り上げた人だという事を知りました。
その三俣山荘や雲ノ平小屋などの始まりを書かれた「黒部の山賊」を読みました。

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昭和初期、もともと三俣に山小屋は存在していたのですが、伊藤さんがその権利を買い取って自ら何日もかけてたどり着いた小屋には山賊が住んでいて、自分の小屋なのに宿泊料を取られたというエピソード。 そしてその一帯を狩猟場にしていた山賊(猟師)たちとの交流や当時の山の話や動物たちの不思議な生態など、あまりにも異世界の話で一気に読んでしまうほど面白い本なのですが、しかしそれは1~2世代ほど前の先人たちの実際の生活だったので、連綿と続く時の不思議さを感じます。

特に当時の山賊としておそれられた人たち(猟師)の超人としか言えないようなエピソードは本当に面白いです。
今の時代でも事実がいつの間にか尾ひれ足ひれがついて全く違う話になる事がありますが、当時は話が口伝えなのでどんどん変化していったに違いありません。 関わった人が心で感じ取った恐怖が次第に本当の事と伝わっていって、人を殺したと恐れられる山賊となってしまった人たち。でも実際はそんな事実もなく、厳しい自然で生きることを好む実直な人たちです。

猟師なので捕らえた動物達は食料として様々な食べ方をしています。 驚いたのは猿の頭を蒸し焼きにして粉にして婦人病の薬にしたとか、熊の内臓を糞と一緒に鍋にした食べ物とか。当時の時代背景や厳しい自然環境での生きる術などもあると思いますが、凄すぎます。

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当時の猟師として生活していた鬼窪善一郎さんは三俣山荘の小屋番や救助要員として働いたそうですが、その猟師としての経験をまとめた「黒部の山人」をいま読んでいます。いろんな意味で凄い人物です。死んだ私の祖母は明治生まれの同年代ですが、この年代の人たちにはかなわないですね。

「黒部の山賊」の本、もともとは三俣山荘に行かないと購入できなかったそうで名作ながらなかなか手に入らない本だったそうですが、今はいろいろな方法がありますのですぐ読めると思います。私は図書館で借りました。どなたかが寄贈した本でした。

そういえば数年前の私のブログで、息子の心臓手術をしていただいた小児心臓外科医の佐野俊二先生が若いころに山小屋で診療のアルバイトをしていて、この「山辺の山賊」にS君として出てるんだという話を聞きました。それもあってこの本には興味あったのですが、残念ながらどれがS君だったのか分かりませんでした。 でも非常に面白い本だったのでまたいつか再読の際にS君を見つけたいと思います。そしていつの日か、この三俣山荘や雲ノ平小屋に行ってみたいです。

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