家族の彫刻がある表札
松本もすっかり寒くなり、数日前からストーブを出し始めました。10月は早いような気もします。 これから約半年は出しっぱなしです。
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今年の前半に相談を受けていた表札の話です。
依頼主のお宅でずっとペットとして飼われていた生き物の彫刻を入れてほしいというものでした。 それは カメ。
ニホンイシガメという種類でお写真も見せてもらいました。残念ながらもう死んでしまったとの事ですが、思い入れのあるカメさんだったのだと思います。いろいろな彫刻もやる工房という事で白羽の矢が立ちました。
私も10代の頃にカメを飼っていました。 父親がどこからか買ってきたミシシッピアカミミガメです。 2匹のカメは冬もヒーターのある水槽ですくすく育ち、30cm近くまで成長し現在でも多分、実家のため池かどこかで今も生きているでしょう。あまりなつかないのでそんなに愛着も持たなかったなあと思いだします。
話が脱線しましたが、ご依頼主のお宅のカメさんはミシシッピアカミミガメほど大きくなく、かわいらしい雰囲気があります。
送られた画像と、YouTubeにアップされているイシガメの動画を何度も見て特徴をつかむようにしました。甲羅の形が特徴あるようですね。
送っていただいた画像をよく見て、少しずつ彫り込みます。
彫刻が終わって塗料のオイルを塗っている段階です(ピンぼけでした)。
屋外に設置する表札なので、色を付けるような塗料は長い目で見ると手直しも効かないので好きではありませんが、オイルに色素が入ったカラーオイルがいくつかあります。ちょうどいい感じになるカラーがありましたのでそれで着色しました。
制作過程で何度かメールしましたが、依頼主の方は不安と期待と入り混じっているようでした。
そして完成写真。
フルネームなので一部隠させていただきます。
表札の素材は栗。カメの彫刻はこのようになりました。
もう少しかわいらしい顔をしているのと、もっと頭を上げていると思うのですが、真剣に頑張って歩く写真を再現しようとしたらこのような顔になってしまいました。
完成品を送り、果たして似ているだろうかとこちら側も届くまで気になりますが、ご依頼主の方も気に入っていただけましたので、今回はこれで良しと思います。
折しもテレビで動物彫刻家のはしもとみおさんの特集番組も見ました。かわいいというだけでなく、生命力やその生きている動物の本質を彫りこみたいという眼差し。とてもかっこよかったですね。
全く違いすぎますが、それでも人様の家族のように飼われていた生き物を彫刻する機会が訪れましたので、小さいものでしたが頑張って作りました。
少しの間でも一緒に生きたペットも家族同然ですよね。
なかなか得難い経験でした。