力強さと柔らかさ

先回のブログで「京円(きょうまどか)」というフォントを導入したと紹介しました。現代的な筆文字で独特の雰囲気に定評があります。
その一方でうちの工房の表札に導入していた「風来坊」というフォントがあります。 こちらも筆文字のフォントですが、比較してみたら共通項とコンセプトの違いがよくわかりましたので皆さんにお伝えしようと思いました。

京円 風来坊 比較

京円の説明は、
墨のにじみを生かした、円やかで上品な京の薫りのする書体、純和風という言葉にピッタリな書体です。

風来坊は、
その名のイメージを基に作製された、従来の昭和書体にはないPOP調の字形となっており、近年、建築やインテリアなどで注目のトレンドである、「和モダン」の趣を演出します。

となっています。

風来坊の「坊」はもともとお坊さんの意味で、そこから基本的には男性を表す文字のようなので、いうならば京円は女性、風来坊は男性のイメージで作った筆文字フォント、といえます。どちらも現代的・和モダンという印象です。

大きい文字で比較してみます。

比較 2

文字の横棒、風来坊は右肩上がり、京円はなるべく水平に抑え気味です。
また とめ が風来坊は力強く、京円はゆっくりと止めていますが はらい の部分の跳ねているような部分がいかにも可愛く女性的です。

比較 3

それから部首 しんにょう。京円は丸っこく跳ねて、風来坊は少し落ち着いていますね。
さんずい は京円が点々とたっぷりの墨を含んだ筆をおいているのに対して、風来坊は筆致が分かる書き方をしています。

それぞれの書体の違いがお分かりいただけましたでしょうか。
コンセプトがあり、それに合わせた一文字を書くのも難しいのに、その雰囲気をすべての文字に表現するのは気が遠くなります。

製作会社が違うのに、現代的な筆文字で男性・女性という対になるような印象を持つ2書体がとても興味深いですね。 どちらが優れているとかではなく、どちらの雰囲気が好みなのか・どう表現したいかの違いです。

私の表札では文字が立体になるので強度の問題で文字を太くするなどの調整をしますが、基本的な書体のコンセプトを大事にしてお作りしています。
また多少ですが、依頼主の好みを反映させた調整もしていますのでお気軽にお伝えください。

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