イチイの個性的な表札

個性的な表札のご希望があり、何度も相談を重ねてお作りした表札の紹介です。

イチイ材 木取り前

材料はイチイ。
イチイは針葉樹ですがきめ細かい木肌と独特の色合いがとても好まれます。 でも好まれているゆえ、安定した良材は私のような小さい工房ではまず無理です。

今回はどうしてもイチイでという希望もあり、大きな一枚板を仕入れました。実際の板を見ると細かな割れが多く、制作に悩みました。

話がそれますが木のヒビや割れをどうとらえるでしょうか?
看板などには多少の割れやひびは味となりますが、表札はちょっと違うかなと思っています。
看板も表札も、その家(店舗)の名前を表すものという事で同じですが、一般的に表札にはもっと品格というか、真面目さが求められています。自分の苗字や名前はあまりふざけて書かないのと同じではないでしょうか。

もちろんその人柄、家庭のカラーを反映したものなので、自由なものであるべきとも思います。また木は自然なものなので、節や割れや色の違いなどもあります。どうしても節がなく均一なものが「美しい」という見方がありますが、木本来の美しさを実感していただきたいものです。

今回の表札用に仕入れた板は一見良かったのですが経年で割れが進まないか心配な部分もあるゆえ、色々と工夫をしました。 
特に私の住む松本は標高も高く乾燥している盆地の気候のため、他の地域に行くと木の呼吸も変わって伸縮が大きくなる場合もあるかと思います。 
それで薄割れの部分には蜜蝋を流して埋めることにしました。蜜蝋はパテなどと違い柔らかく、木の伸長にもある程度ついていけるのでよく使われるそうです。

木取りをしたイチイ

木の外側の部分を耳と呼びますが、イチイは芯材の赤身部分と外の白太部分が美しいので耳つき表札として制作することに。表皮に近い部分の小節も生かして作ります。

イチイの表札 完成

制作過程が少ないですが、これが完成。

大きいサイズのため、板厚も3cmとしましたが、小さな切り抜きに苦労しました。 細い文字の切り抜きには細いドリル刃が必要で、細いドリル刃は曲がりやすいのです。 何とか修正したり補修したりしましたが、ちょっと限界も分かってきました。 

イチイの表札 拡大

漢字はご依頼主のハンコをもとに制作し、すべてがオリジナルの表札となりました。通常避けてしまうはずの小節を逆にデザインとして生かしましたがどうでしょうか?
正直かなり大変でしたが新しい技術にもチャレンジしつつ、いいものに仕上がりました。

新型コロナウイルスの猛威が続いていますね。
松本の学校事情ですが、昨日より新年度が始まったと思いきや、松本保健所管内で感染者が症状あるのに接客の仕事をしていたため、不特定多数の濃厚接触者の可能性があるという事で、なんと明日の3日目から休業。5月の連休明けまでです…。
いくら感染した人に罪はないといっても、影響が半端ありません…。 くれぐれもこの時期は体調不良なら無理しないようにしましょう。

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