何も考えず

むかし「蛍、納屋を焼く、その他の短篇」という村上春樹さんの本に関して、イラストレーターの安座水丸さんとの対談の話。
安西さんのイラストと手書きの文字で装丁するという事だったのですが、タイトルの文章を電話で聞いてメモした文字を超える良いものがかけず、そのメモの文字を採用したという話を読みました。

もちろん安西さんは才能やセンスあってのものですが、何も考えずに作ったものが実は一番良かったという事が自分にもあります。

2才の子どもがご飯を食べる時に使えればと思って作った木のピック、気に入ってくれた方がいてまとめて作ることになりました。

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素材はチークです。少し柔らかいですが耐水性があります。

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チークは内部の油分が豊富です。そのためやすりかけをするとすぐにやすりが目詰まりしてダメになります。

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今回の菓子楊枝には木固めエースという浸透性のプレポリマーを使用しました。
これは木の内部に浸透し組織を固く耐久性のあるものにします。食品安全法にも適合していますので安心です。これに表面を荏胡麻油と蜜蝋のワックスをかけています。

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出来上がり。

持つ部分を柔らかく膨らませて、人差し指が引っかかるようにカーブしているのが特徴です。

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先端に行くにしたがって菓子を切れるように刃をつけています。

何個か試作して数を作った菓子楊枝ですが、実は何個作っても最初に作った楊枝を超えられないのです。
もちろん用途や形としてはほとんど同じものに作っているんですが、なんとなく違うなあ…と思ってしまいます。

マネして作ろうとしたり、かっこよく作ろうなどと邪念が入り込むと、最初に何も考えずに作った純粋な気持ちが濁ってしまうのでしょうか?
こういう誤差を少なくして作っていくのがプロなのかなと思いますが、そうするとまだまだ先は長いですね。

同じものが作れない事を「味」、いまいち洗練されない事を「朴訥」と良い風に解釈し、ひとまずの完成としました。

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