木材の曝露試験と結果

今年の1月から約10か月間、取り扱っている木材の曝露試験(雨ざらし試験)を行いました。
オイル仕上げと塗膜塗料・ウッドスキンコートの試験です。

結果を見るとちょっと心苦しいとこともありますが、正直な結果とそれを受けたみつより舎の今後の方向をご連絡します。

最初がしゅり桜です。
広葉樹で堅い木です。色合いが良く、日本人に特に好まれる木です。最近は流通量が減った本桜に代わり人気が高くなりました。

曝露試験 しゅり桜

最初の段階はオイル仕上げは赤身部分はより赤く、塗膜塗料は何とも言えないような渋いピンクグレーです。

10か月後は塗膜塗料は膨れが現れ、雨が降ると内部の木に入り込んでしまいました。カビもあるようです。また全体的に白っぽく変化しました。
 
オイル仕上げは赤身はそのまま残っています。白太(白身部分)はカビが多く発生しています。
やはり芯材の赤身の方が耐久性があるので、カビも少ないように見受けられます。

次は天然の木曽檜です。檜はピンキリがありますが、取り扱っているのは植樹ではない天然木の木曽檜、非常に目が詰まった高級木材です。

京都の寺院などに使用され、高樹齢の材だと1000年以上もしっかりしています。

曝露試験 木曽檜

試験開始の写真、無塗装と比べるとオイル仕上げは少し黄色になりました。塗膜仕上げはほとんど無塗装と同じ色です。

10か月後。
最初の木の仕上げが影響し、オイル仕上げの方は木目に沿ってグレーになっている部分(カビ?)が見えますが、他は日に焼けて良い色合いになりました。見えませんが側面の木口部分(導管断面の所)に少しのカビが見えます。檜は途中のやすりかけも不必要なくらいで非常に優秀です。

塗膜仕上げもほぼ浸水がなく、最初の状態を保っています。表面が汚れたまま写真を撮ってしまいましてすみません。

檜自体の木の力というか、特性による耐久性がよく分かりました。また塗膜塗料の効果が続いているのは、柔らかい針葉樹として塗料が良く浸透したせいかもしれません。

次はホワイトオークです。
オークは非常に堅く重く、耐久性のある木材としてオールマイティーです。独特の香りもあり、ウイスキー樽として使用されています。

曝露試験 ホワイトオーク

開始直後は塗膜、オイル仕上げともに良い雰囲気です。

しかし10か月後。
塗膜仕上げは側面から無残にも塗膜が剥がれ落ちています。
オイル仕上げの方は木目に沿って黒くカビが見えます。

ただ、見た目は残念な結果になっていますが、木自体の固さ・強さはあまり変わらないというのが印象です。 オイル仕上げの方もサンディングしてオイルを再塗布すると魅力が回復すると思います。

早速やってみました。

ホワイトオーク オイル再塗布

320番手のやすりで1分ほど表面をこすり、透明の屋外対応オイル、カルデットを塗りっぱなし。色味も復活しています。木目の黒い部分は落ちませんでした。

次が神代楡(じんだいにれ)です。
神代というのは数百年から千年以上、土中に埋もれていた埋もれ木の事を指します。腐らずに土中の成分が木の中に入り込み、独特の雰囲気と色合いが魅力です。
量が少ないですが神代ニレが手に入りましたのでこちらも曝露試験をしました。

曝露試験 神代ニレ

試験開始の色合いは深緑、粘土のような不思議な色合いをしています。塗膜・オイル共にあまり違いはありません。

10か月後の様子。
塗膜仕上げの方は表面が白っぽくなりました。雨が降ると少し浸水しているようで、その部分が黒くにじんでいる様子がありました。
オイル仕上げはもともとの色合いに加え茶色の色味も出てきて良い雰囲気です。退色するというよりより色合いが増しているようです。

神代ニレに関しては屋外雨ざらしでのオイル仕上げは経年の変化が良いように思えます。
塗膜塗料も浸透はしていましたので、塗布の仕方で大丈夫かもしれません。

ただ他の方のブログでありましたが、神代はやはり数百年経過している木材のため、木そのものの若さといいますか、繊維の力がないという事です。家具で使った場合、コーナー部分が傷むとボロッとなるという写真を見ました。
変な例えですが浦島太郎のように、現実世界に出たらお爺さんだったというような、そんな感じでしょうか。ただ実際制作しているときにはそのような弱さは感じません。良い木材です。

じつは試験中の10か月間、何もしなかったのではなく、オイル仕上げは2度ほどやすりかけとオイルの再塗布を行いました。そうしないと表面が紫外線でグレーになり始めました。

それから塗膜仕上げの方は、四隅・四辺から浸水が見られたため、追加の塗膜を施すなどの対応もしました。その結果の10か月後の写真です。

他に数種類の木材を試験しましたが、結果として分かったのは、塗膜塗料は私が使っている広葉樹の木材では、あまざらしの環境で相性が悪く塗膜がはがれてしまうという事でした。(看板塗料の上にコーティングとして同じ塗膜塗料を塗った木材は、一年を経過しましたが剥がれが起きていません。やはり相性の問題かもしれません。)

逆にオイル仕上げはメンテナンスや掃除などの頻度によりますが、色合いを調整したり、木の雰囲気を感じながら経年変化を味わうことができると思いました。

試験として置いている場所は、通常の表札とは違ってウッドデッキに平置きですし、標高が600mある場所なので多少厳しい環境だとは思います。
あまざらしの環境の方の塗膜仕上げには、塗料の塗り重ねを多めにして仕上げています。つくりによっては大丈夫な表札もあるかと思います。

もちろん木の仕上げ方とか、塗膜の回数とか、設置する環境での違いはあると思います。 軒下環境ではおそらく剥がれは少ないと思います。

現在使い始めているウエスタンレッドシダーやイチイ、今回優良だった木曽檜などの針葉樹が本当に塗膜に効果的か、もう一度実験しないといけないと思いました。

次の曝露試験は、取り扱う全種類の雨ざらしと軒下環境の違い、オイル仕上げと塗膜仕上げの違い、そのほか導入を検討している塗料の試験を行いたいと思います。

準備が整ったらまたブログで報告したいと思いますが、現時点では屋外雨ざらしで、ウッドスキンコートでの施工はやめようと思います。

あまざらし環境の方で塗膜仕上げでお届けした方や、これから塗膜仕上げをする方にはこの情報をもとに個別にご相談したいと思います。

やはり車もそうですが、雨ざらしでは塗装(塗膜)はいつかはがれてしまうものです。車は工業製品、ピカピカが重要と思われています。

木は、ぬくもりを感じるのと同時に自然に還ることができる、素敵な存在だと思います。

ずっときれいな状態を保つというのは、人でもモノでも変な感じがします。時が経つことの味わい(エイジング)が素敵だなあと思えるような、そんな木の製品を提供していきます。

ただ、それと同時にきれいな状態を長持ちさせたいと思う気持ちもあります。それなので、塗膜塗料と木材の組み合わせなど、より良いものを探したいと思います。

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